特定非営利活動法人アクアカルチャーネットワーク「つくり育てる漁業。人と技術のネットワーク」
ACN懇話会
開催予定
2016年10月5日(水)13:00〜17:00
開催場所:ホテルリソル佐世保(長崎県佐世保市)
※詳細は9月に案内状発送
理事長挨拶
 
特定非営利活動法人 アクアカルチャーネットワーク 理事長 田嶋 猛

2016年 年頭のご挨拶

21世紀に入って以降の日本の海産魚類養殖

 新春を迎え謹んでお慶び申し上げます。
読者の皆様には平素よりNPO法人ACNの活動にご理解とご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。

 21世紀(2001年1月1日)が始まり、ちょうど15年が経過しました。また、昨年10月にはTPP交渉が大筋合意に至りました。この機会にACN会員と関係が深い日本の海産魚類養殖について、その収穫量と生産額の推移を振り返ってみたいと思います。
 農林水産省の海面漁業生産統計調査によれば、2001年から2014年までの14年間で、漁業・養殖業における就労者数は252千人から173千人(-31%)、収獲量は6,126千トンから4,806千トン(-22%)で、生産額は17,803億円から 14,400億円注1(-19%)と減少しています。(注1:生産額は2014年でなく2013年の数値、以下も同様)
 魚介類(海藻も含む)海面養殖は、収獲量では1,256千トンから996千トン(-21%)、生産額で5,029億円から4,064億円(-19%)に減少しています。
 海面魚類養殖の収獲量は264千トンから238千トン(-10%)、生産額で2,305億円から2,149億円 (-7%)と減少していますが、漁業・養殖業全般の中では減少率は小さいといえます。以下、養殖魚類で収獲量の多い順にブリ類からシマアジまで7魚種の推移をみてみます。

1)ブリ類
 収獲量は2001年の153.1千トンから2014年には134.6千トン(-12%)となり、生産額は1,184億円から1,115億円(-6%)となっています。2014年のブリ類の内訳ではブリ94.4千トン、カンパチ36.3千トン、その他(ヒラマサ)3.8千トンとなっています。生産者価格は2011年後半から原価割れの500円/kgまで下落しましたが、2013末には700円/kgに戻し、2015年前半まで800円/kgと堅調に推移していましたが、その後は下落傾向です。

2)マダイ
 収獲量は2001年の72千トンから2014年には62千トン(-14%)となり、生産額は660億円から492億円(-25%)に減少しました。生産者価格は2013年春には800円/kgでしたが、日本産水産物の放射能汚染を不安視する韓国への輸出停滞により500円/kgまで下落しました。2015年4月以降から価格は徐々に上昇に転じましたが、2013年および2015年の2回の輸入魚粉高騰による配合飼料の値上げのため、配合飼料比率の高いマダイの養殖生産者にとっては厳しい経営が続いています。

3)クロマグロ
 農水省の統計で2011年まで「その他」に分類されていたクロマグロは、2014年の収獲量は14.7千トンで、生産額は293億円と、ブリ類、マダイに次ぐ主要養殖魚種となっています。2013年の生産額/収獲量の単純計算では2,800円/kgとなります。

4)ギンザケ
 収獲量は、2001年の11.6千トンから2014年には12.8千トン(+10%)、生産額は40.7億円から47.9億円(+18%)に増加しました。ギンザケは、生産と流通が一体となった販売努力で、2001年以降の海面養殖魚類の中では唯一収獲量と生産額が上昇しました。しかし、2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受け、市場では一気に輸入物に入れ替わりましたが、その後急速に収獲量・生産額共に回復しています。

5)トラフグ
 収獲量は2001年の5.8千トンから2014年には4.9千トン(-15%)、生産額は145.7億円から85.8億円(-41%)に減少しました。生産者価格は、中国からの輸入の影響を受け2〜3年毎に上昇下落を繰り返しています。2005年には一時1,500円/kgを切る場面もありましたが、輸入の減少に伴って上昇し2011年には2,500円/kgになりました。しかしながら、東京市場での身欠きフグ販売が伸びず2013年は2,000円/kgを割り込みましたが、2015年の年初から急回復し年末には3,500円/kgとなりました。

6)ヒラメ
 収獲量は、2001年の6.6千トンから2014年には2.6千トン(-60%)、生産額は109.9億円から32.9億円(-70%)と激減しています。この要因としては、韓国からの輸入増および韓国ヒラメによるクドア食中毒発生で消費が減少したことが挙げられます。生産者価格は2001年の2,000円/kgから下落傾向で、2010年には1,000円/kgまで下がりましたが、その後少し上昇して2013年以降1,300円/kg前後で推移しています。

7)シマアジ
 収獲量は2001年の3.4千トンから2013年3.2千トン(-6%)、生産額は52.0億円から44.5億円(-14%)となっています。2010年以降の生産者価格は2,000〜1,800円/kgと安定しています。その理由としては、養殖用のシマアジ種苗数が毎年不足気味なため、過剰生産防止となっていることが考えられます。

 TPPに関しては、国内の第一次産業界では危機感を煽る報道が目立ちますが、生産物の輸出を目指す水産養殖業界にとっては、TPP交渉加盟12カ国の輸出入関税の撤廃等は追い風になると思います。
 最後になりましたが、本年が皆様にとりまして実り多き年になりますよう祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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