特定非営利活動法人アクアカルチャーネットワーク「つくり育てる漁業。人と技術のネットワーク」
理事長挨拶
 
特定非営利活動法人 アクアカルチャーネットワーク 理事長 田嶋 猛

2016年10月5日

第11回ACN懇話会 in 佐世保 開会挨拶

 2011年3月11日の東日本大震災の津波映像の記憶が鮮明に残っているうちに、本年4月14日午後9時過ぎと16日午前1時過ぎの2度にわたり九州では初めての震度7という強烈な地震により、熊本と大分両県で甚大な被害が発生しました。

この地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。熊本県では今もブルーシートで屋根を覆われた住宅をあちこち見かけますが、ブルーシートの覆いもなく解体待ちの土埃を被った日本式家屋と対照的に手入れの行き届いた庭を見たときには心が重くなりました。熊本地震の本震から10日後の4月26日に宮城県石巻市、女川町、南三陸町を海沿いに巡りました。石巻市の水産加工工場や魚市場は新築の建物に最新の機器や冷凍・冷蔵設備が導入され稼働していましたが、南三陸町などの住宅の高台移転工事は土地の造成中で完成までには今後数年はかかりそうでした。東日本大震災や熊本地震のような大規模災害の被災地の一日も早い復興を願うばかりです。
 さて、ACN懇話会の開催にあたって2年毎に九州・四国・中国地方の各県を巡っていますが、同県内で2度目を開催するのは今回が初めてで、前回は2000年に長崎市で開催しております。余談ですが、本年のリオデジャネイロオリンピックでの日本選手団の大活躍は記憶に新しいところですが、2000年にも南半球のシドニーでオリンピックが開催され、女子マラソン高橋尚子選手の金メダルに日本中が沸き立ったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
 話をACN会員の関係する魚類人工種苗生産と養殖に戻しますと、第3回ACN懇話会in長崎を開催した2000年のマダイ養殖収獲量は82,183トン、卸売市場価格938円/kgで、2015年にはそれぞれ63,500トン(2000年比77.2%)、823円/kg(同87.7%)となっています。同様にトラフグは4,733トン、3,235円/kgが3,800トン(同80.0%)、2,555円/kg(同80.0%)に、ヒラメは7,075トン、2,958円/kgが2,500トン(同35.3%)に、1,974円/kg(同66.72%)、シマアジは3,058トン、1,878円/kgが3,300トン(同107.9%),1,851円/kg(同98.5%)(注1)となっています。シマアジ以外は数量、価格とも下落していて、特にヒラメの下落が目立ちます。このように21世紀に入り日本の種苗生産業界にとっては厳しい状況が続いていますが、昨今この業界にとって明るい「完全養殖」という言葉をしばしば耳にするようになりました。完全養殖では天然種苗ではなく人工種苗となります。マダイやヒラメについては10数年前から完全養殖ですが、ここ数年間ではマグロが先行し、ブリ類も徐々に人工種苗へと移行しつつあり、クエ・ハタ類、マサバ等も増加傾向で、今後の市場拡大に期待したいところです。
 末筆になりましたが、第11回ACN懇話会in佐世保を開催するに当たり、ご後援の各関係機関、講演をしていただく先生方や各地からお越しいただいた水産増養殖関係の皆様に厚くお礼申しあげます。
注1
養殖収穫量については農林水産省「平成27年漁業・養殖業生産統計年報」
卸売市場価格については東京都中央卸売市場(全場)における平成27年品目別年間平均価格
マダイとトラフグは鮮魚。ヒラメとシマアジは活魚。マダイは『マタイ(養殖)』、他の3品は養殖・天然の区別はされていない。

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